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◆創業塾編「経営者って、悩みが尽きることはないんですね…。」◆


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「経営者って、悩みが尽きることはないんですね…。」

 

毎年この4月・5月は”心機一転の節目”、新たな事業拡大を図るための経営相談や創業相談が頻繁に行われる時期である。昨今のコロナウイルスによる影響で、例年に比べて問い合わせ件数自体は少ないものの、本日も創業に関する相談が入った。

www.freee.co.jp

 

「南と申します。実は年内に開業を予定しておりまして、基本的な経営知識を身に付けたくて商工会議所に来てみました。創業塾というものもあると聞いたのですが…。」

「まずは、ご来所頂きありがとうございます。基本的な経営知識を身に着けられたいとのことで、本日お伝えできる範囲内で情報提供ができればと思います。そして創業塾ですが…実は、開催の方向で準備しておりますが、開催日は未だ未定なんです。」

 

そう。このコロナウイルスの影響で、各商工会議所では”三密(さんみつ)の環境を生むようなセミナー関係はすべて中止・延期”の対応をとっている。

そして南さんが気にされている”創業塾”とは、この時期大変人気のあるセミナーの一つで「経営者として必要な知識を補填できる」創業予定者や創業間もない方を対象とした商工会議所の大規模セミナーなのだ。

 

「そうでしたか…。実は経営者になるのに”経営者としての知識がまだまだ未熟なので、少しでもお力添え頂けると助かります。」

「承知いたしました。今日はお時間も限られておりますので、特に財務面の情報だけでもご提示いたします。」

南さんのような謙虚な方と接すると、俄然やる気がでる。

 

経営者になるためには、特に創業初期の方にみれば大きく4つの分野の知識が求められる。一概には言えないが、その4つとは①経営、②財務、③労務、④販路に関する知識だ。

web.all-in.xyz

南さんは広告会社に長年勤められていた経歴もあり、販促面に関しては知識補充をしなくとも問題なさそうだった。

 

「この4つの分野のうちの、労務って何ですか?事業内容はデザイン関係なのですが。」

経営者の基本スキルに関するパンフレットを指さして、南さんが問いかけてくる。

 

「はい。これは労務管理全般を指しておりまして、例えば従業員雇用に関する規定(ルール)や労働保険関係がこれにあたります。経理部門や人事部門の出身でないと、なかなか縁の無い領域ですね。」

周知のとおり、従業員を雇用するにあたっては雇用形態に関わらず保険が適用され、賃金もまた最低賃金や時間外・夜間労働での割り増し等、一定のルールが存在する。このルールを無視してしまうと罰則や是正勧告が入る為、注意が必要だ。

www.mhlw.go.jp

「全く、僕には分からない領域ですね…。ぜひ次回、教えて頂きたいです。」

「もちろんです。それでは財務に関する簡単な基礎知識をお伝えいたしますね。」

簡単な事業計画書とキャッシュフロー表を見せる。

advisors-freee.jp

「お話を聞いていると、事業内容は名刺等のデザインからチラシやポスターといった販促物のデザインをされるとのことですが、当面の運転資金や設備資金はどのようにして補填されますか?」

「はい。これはネットで調べていたのですが、日本政策金融公庫の創業融資制度を利用しようと思っています。確かその申請には、いまお見せ頂いているこの”事業計画書”が必要とのことでした。」

素晴らしい。南さんはしっかりご自身で勉強されている。

www.kaonavi.jp

「おっしゃる通りです。設備導入費や運転資金が”いくら必要なのか”を明確にできるだけでなく、自社がどういったコンセプトで誰にサービスをしていくのか(企業ドメイン・セグメント)を明らかにしていきます。いわゆる整理するタームと言えますね。」

 

「実は…。ある程度、作ってみたんです。見て頂けますかね…。」

すると南さんは、カバンからなんともカラフルなA3サイズの事業計画書を出してきた。

経営方針等は空白だが、必要となる借入金額欄は記入されている。500万円(笑)

 

「いったい、このデザインは…?」

「カラフルな方が、融資も通りやすいのかなと思って。」

そんなわけあるか(笑)

月曜から夜ふかし 10月29日放送~とんでもない事業計画書~

 

 

「借入金額考え方は、概ね南さんのご記入いただいている通りで問題ございません。事業経営をしていく中で返済をしていけば良いですし、返済金額が減ってきましたら”借り換え”をすることだってできます。」

www.suwacci.or.jp

 

よく勘違いをされるのが”無借金経営=優良企業”という考え方。もちろん無借金に越したことはないが、ある意味それは”成長投資がされていない”という判断が下されることもあるし、社長が会社にお金を入れる(短期借入金等)経営になりがちである。

 

重要なのは”借入をしながらも一定の投資を行い、継続経営のために売上拡大を図っていくこと。”ROIや流動比率改善等のテクニック的な要素は、事業が拡大し成長期に入ってからでも遅くはないのだ。

 

「財務の知識だけでも、既に頭がパンクしそうです。他の分野の事も考えると…。経営者って、悩みが尽きることはないんですね…。」

「そう言われると、確かに仰る通りかもしれませんね。でも、成果が報酬に直結するので”やりがい”や地域貢献といったトータルの視点でとらえると、やはり魅力を感じます。」

南さんは、すごく嬉しそうだ。きっと、次回は素晴らしい事業計画書を持ってくることだろう。

「僕、すごくワクワクしています。やっと経営者になるという実感が湧いてきました!!」

「それは良かったです。この財務テキストと事業計画書のテンプレートはお渡しいたしますので、ぜひご一読ください。また次回、労務関係について個別に情報提供をさせていただければと思います。」

 

最終的には”創業塾”につないで、知識武装ができることだろう。南さんのこれからが楽しみだ。

「今日は貴重なお時間をありがとうございました。あと1点だけ、質問よろしいでしょうか。」

「はい。どういったことでしょうか?」

 

「事業計画書の色(デザイン)は、消しておいた方がよいでしょうか?」

当たり前だ。(笑)