◆調査編「これって、意味あるのだろうか…。」◆
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「これって、意味あるのだろうか…。」
都市部の商工会議所に勤務して数年。仕事にも慣れてきて、一定のルーティン感も出てきたために、仕事量もフラットに捌くことができるようになってきた。
「日本商工会議所から、アンケート調査の依頼がきてるよ。」
ある日、うちの所長から出勤早々に突然通達された。職員の中で最も企業とコンタクトする機会が多い私は、何かと依頼をうける。ちなみに”日本商工会議所”とは全国の商工会議所が会員となって組織される、いわば商工会議所の親元である。どうやらその機関が、各事業所に出向いてアンケート調査をしろと。
…は?
「いま、コロナの影響でアンケート調査している時間が中々作れないかと思うのですが…。どのようなアンケート依頼ですかね?」
「えーっと…。働き方改革。」
…は?
私が思い描くに…。
(頭の中のアンケート調査イメージ)
「コロナウイルス感染症の影響で、御社も大変でしょう?ところでどっこい、働き方改革は進んでいますか?」
「帰れ!」
かなと…。(笑)
「承知いたしました。支援している事業所様やコンタクトをとる機会がある企業を中心に、ヒアリングしてみます。」
というわけで、本日付けで公開された資料がこちら。
うーん…。改めて、「これって、意味あるのだろうか…。」と感じる今日この頃。
アンケート調査はメディアや媒体を通して実態を公知にしていく分には問題ないかと思うのだが、この事実を知ったところで(そもそもアンケート調査数が少ない)、制度改正があるわけでもなく、何にデータ活用をするのかが不透明なのだ。
※しかも実際に調査した企業は、市内の大会社だったり元々経営が安定している企業ばかりだったりする。
事実、労働条件についてヒアリングしていると、事業者から「別に補助とか出ないんでしょ。アンケートとる意味ないし時間無駄じゃない?」と言われてしまった。
はい、おっしゃる通りです。すみません(笑)
私自身、商工会議所の指導員として”経営支援”をする立場に身を置いている。こんな身もふたもない調査に時間を使うなら、1件でも多く融資や支援に充てたいぐらいだ。
実際の声はもっとリアルで、特に国の補助金や助成金にみると「制度があるようで、ほとんどの事業者が対象にならないものばかり」という実態がある。つまり、申請できる事業者のほとんどが小規模事業者・従業員数の少ない会社というわけだ。
また制度のほとんどが”実績払い”に対しての補助や助成なので、資金繰りの厳しい弱小会社は”申請する前に資金ショートしてしまう”。ただでさえ申請できる事業者が少ないのに先払いであるために、対象となる事業者は申請したくてもできない。結局、予算が余る(笑)
まったくもって、悪循環極まりない。
私のような1(イチ)職員が声を上げたところで、届かないこの不甲斐なさ。明日の生活のために、目の前の1円を稼ぐのに必死で汗水かいて働く会員事業者の方々の姿を見ると、胸が詰まる。
大切なのは「制度の拡充」ではなくて、対象範囲の拡大と簡便さかなと。
どうかこの声が、もっと公知となりますように。